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落ち、見るも無残な状態であった。これからまだ何かが起こるのか。震源地はどこなのか、情報がないというのは大変な不安であった。
どの位時間が経った後だったか、やっと電気がついてテレビで報道される神戸の惨状には驚くばかりだった。まさか神戸が、どうして神戸が、若い時を過ごした懐かしい神戸がこんなことになるとは思いもよらぬことだった。被害のひどい地域の惨状は詳しく報道されるが地元尼崎の様子はあまり知ることができなかった。
今振り返ってみて、地震の直後私は、行政相談委員として何もすることができなかった。同居している義母と近所に住む母。義母は私が家を空けて出掛けるのを不安がり、私の気持ちを察して「外でボランティアするより家でボランティアしてほしい」と言った。
パニック時に頼りにするのは先ず家族、近所の人、知人友人。そして地域の行政等へ何らかの支援やアドバイス情報等を求めるということであろうか。となると、日頃からいかに地域とより良い関わりを持ち、より良いネットワークを作ることが大切なことであるかを痛感した。そしてある程度落ち着きを取り戻した時、行政相談の大切な出番が待っているように思えた。
2月に入って広島に住む姉が急に倒れ、幾度となく交通の不便な中、広島へ往復した。その時に乗ったタクシーの運転手さんの「広島の人はもっと凄い目に遭ったんや!」という言葉に胸がドキッとし考えさせられた。

 

阪急「伊丹駅」を「福祉駅」に

 

山 本 正 一
(伊丹市)

 

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あの一瞬、鉄筋3階建ての阪急伊丹駅は、数台の車両とともに倒壊しました。1人(伊丹署員)の犠牲で済みましたが、もし日中の発生事故でしたら、1、2階がショッピング街だけに数百人の犠牲者が出たことでしょう。
阪急伊丹駅は、3階のプラットホームまで階段だけ。日頃から、高齢者や障害者に酷な駅として不評でした。わざわざ次の「新伊丹駅」まで歩く人がいるほど。
それだけに、再建の話が持ち上がった時、すぐに立ち上がったのは障害者のグループでした。ボランティア団体と手を取り、「障害者と共にバリアフリーを考える市民の会」を結成し、やさしい町づくりの第一歩として駅の福祉化を伊丹市阪急電鉄に呼びかけました。 要望は71項目、その主なものは、?@段差の解消とスロープ、エレベーターの設置、?A車イスで使用できる高さの自動券売機、?B車両乗降口の床とホームの高さを一致させる、?C音声や光による誘導装置、?D手話のできる職員の配置、?E構内放送と同じ内容を電光掲示板で表示する・・・など。やがて、運輸省外郭団体・財団法人「交通アメニティ推進構」(東京)が身体障害者施設整備事業のモデル駅として選定、あらゆる面に障害者や高齢者のための設備を持つ総合的な「福祉駅」に生

 

 

 

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